離職率から見た現在の就職活動の実態

新卒採用がここ数年、とても活況を呈しています。

アベノミクスのおかげでしょうか。東京オリンピックに向けての上げ潮だからでしょうか。少子高齢化が叫ばれてから久しいですが、それでも毎年50万人ほどの大卒新卒が一斉に就活を始め、40万人弱が就職をする構図に変わりはなく、数十名から数百名の採用を実施ている会社が母集団形成に、そこまで苦労するはずはないように思えてしまいます。

しかし多くの企業では、採用予定人数に達せず、苦労しているのは何故でしょうか。

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【有効求人倍率?】

・1.74倍 ⇒ 2017卒 大卒新卒の求人倍率(出典:リクルートワークス)。
・2-3倍 ⇒ 実際の肌感覚での有効求人倍率(主観)
・3-5倍 ⇒ IT業界におけるハイスペック学生の有効求人倍率(主観)

2017卒の大卒新卒の主観も交えたイメージです。IT業界に至ってはハイスペックな学生を追い求める企業が多く、一部の学生に内定が集中し、内定辞退を防ぐためにあの手この手で対応力が企業に求められています。1.74倍はあくまでも平均ってことだけです。

さて、そこまで求人難となっている大卒新卒ですが、一方で入社後3年以内の離職率は31.9%(出典:厚労省)。せっかく内定を獲得し、選択した企業でも3人に一人は早期退職します。善悪の判断はできませんが、30%超はここ数年の話ではなく、1995卒から続いています(2009卒除く)。つまりその離職トレンドは20年以上に渡って既に定着しており、3人のうちの二人もずっと新卒で入社した会社で永年勤続することを約束しているわけでもないのが実情です。

【就活のスケジュール感】

2018卒 倫理憲章 実際のところ(主観)
広報活動開始 2017年3月1日 2016年7-8月
選考活動開始 2017年6月1日 2016年10-11月
内定開始 2017年10月1日 2017年1-3月

このスケジュール感に企業も学生も異論はないでしょう。倫理憲章があるものの、学生は3年生の夏頃から実質的な就活をスタートさせます。今では多くの企業が取り入れているサマーインターンシップが号砲という暗黙の了解になっているからです。そして夏が終わり10月になると、それこそ就活は本格化し、4年生になる前に内定が取れれば一段落というのがリアルなスケジュール感でなないでしょうか。その内定先を担保に倫理憲章通りのスケジュールで動く大手も睨みながらというのが本音です。

ここで問題なのは、早期就活組でさえも、結局1年弱の就活期間で自分の一生を決めるような選択をせざるを得ないということ。ましてや倫理憲章を遵守するならば、就活期間はたった数ヶ月に過ぎません。この現実を前提にした場合、企業も終身雇用を前提に選考を進めることが土台無茶な話だと気づくべきであり、企業も学生もまずは3年やり切るという目線で合意を目指す方が賢策ではないでしょうか。3年という一区切りの段階で、そのまま継続して在籍するのか、キャリチェンジをするのかを考える。それくらいの尺度で見る方が現実的というのが今の就活の実態です。


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