問題と課題の違い
課題解決について考える前に、「問題」と「課題」という言葉を整理してみたいと思います。一般的には
問題
・現状と理想の姿や目標との差
課題
・問題を解決するための個別のアクション
であると認識されていると思います。
つまり、理想や目標がなければ「問題」は生まれず、となれば当然「課題」も発生しないということになります。
ただ、理想の姿や目標が存在しないなどということは少ないと思いますので、理想や目標が明確でないため、課題も明確にならないということが現実的によく起きていることではないでしょうか。
課題を明確にするためには、上記の要素
・現状の把握
・理想の姿、目標
に加え
・ギャップの分析
を正確に行って問題提起をする必要があり、課題を解決するためにはいわゆるPDCAサイクルを回していくことになります。
このような課題解決は、個人・組織に関わらず同様のプロセスで行われるはずですが、こと組織となると途端に難しく感じるのではないでしょうか。
組織の現状把握は難しい?
仮に目標達成ができていない組織の場合、未達原因をすべて個人に帰することは公平ではないですし根本的な解決につながるとも思えません。マネジメント層は自身を含め組織にも問題があると捉えるのが普通です。
なお、当社がコンサルティング業務で関わった企業の組織課題は
・組織目標(数字以外も含む)の不浸透
・情報共有の仕組み不足
・役割分担/ミッションが不明確
・自発的な動機付け不足
・非効率なプロセス管理
・適切でない教育体系や方法
が多く見受けられました。
個人の課題は目標が短期的に設定されていることが多いため、現状把握からギャップ分析、課題の抽出まで比較的明確にしやすいですが、組織課題は上記のように中長期的に解決すべき課題が多く含まれるため、個々人の課題の共通項を探るだけでなく、より原因を深掘りした客観的な現状把握が必要になります。
また、売上や経費などのデータ分析から問題点を予測することは可能ですが、データ分析は仮説が非常に重要です。そして仮説の精度を上げるためにはやはり事実や現状を正確に把握することが大事です。
組織内での現状把握の手法として、現場にヒアリングすることは有効ですし、定期的に行っている企業も多いと思いますが、実際に同じ組織内の上司と部下でどこまで本音で話せるかというと、甚だ疑問が残るのではないでしょうか。
また、社風や上下関係、業界常識といった「暗黙の了解」になっている思い込みのようなものはどの企業や業界でもあると思いますが、これが本音を阻害している要因であり、この壁のような部分をお互いに一度取り除かなければ現状は見えてこないと思われます。
そして、この「暗黙の了解」の部分に組織課題を解決するイノベーションのタネは潜んでいます。
組織課題が企業で進まない理由は、この肝心な部分に触れないまま現状を把握しようとするために起こります。
組織内にいると、自社や業界を客観的に見るのは非常に難しいのですが、マネジメント層まで現場と同じように暗黙の了解に蓋をしたまま短期的視点で目先の課題解決を行っていくことは企業の成長につながりません。組織課題の解決は、企業の飛躍に直接通じています。
まとめ
・課題の発見には現状把握が必要
・正しい現状把握は暗黙の了解や先入観を取り除くことが重要
・マネジメント層は中長期視点を持つ
と、まとめてみましたが、実行するのはなかなか難しいよ…と感じることも事実だと思います。
そこで、当社がお勧めするのは、ちょっとだけイノベーション、略して「ちょイノ」です。
組織すべてをいきなりガラッと変えようとするのではなく、小さな変革の積み重ねを大きなイノベーションにつなげていきましょう!ということです。
まずはすべての先入観をなくし、組織内で本気の話し合いからゼロベースで現状を把握してはいかがでしょうか。