株式会社シーピーユー

ほぼ1年掛けて取り組んできた人生の選択「就活」。学生が期待を胸に入社した会社は、当の本人も迎え入れる企業側も、その初日から終身雇用で生涯に渡って、この会社で頑張ろう、頑張ってくれ、という気持ちをお互いに持ち合わせないままにスタートします。その結果が、新卒入社の1/3は3年以内に離職するという事実として表れています。これは20年に渡って続いていることであり、世間一般にも常識として定着してしまっています。ではその若手はどのタイミングで転職するのが適切なのでしょうか。経験年数や年齢で見たときに転職に相応しいタイミングとはいつなのか。転職の目的や転職者の経験・キャリアによってベストなタイミングは異なりますが、おおよそ3つのケースに分かれると思っています。

 

<未経験分野に挑戦する場合>

未経験の業種や職種に挑戦するなら、3年ほどの社会人経験を積んでからが望ましいとされています。3年未満ですと社会人経験が短かすぎて、そもそもの新卒就活における自分自身の選択の否定となり、また忍耐力も適応力も乏しい人財と判断されかねません。社会人経験の3年(ストレートに大学を卒業した人なら25・26歳になる頃)は、若手としてのポテンシャルがありながらも、基礎的なビジネスマナーとスキルを身に付けていると受け止められ、採用に積極的な企業も多いです。

社会人生活がスタートして1-2年のうちは、「Will、Can、Must」の中で言うと、「Must」に追われることが多く、そのため職場の不都合や不条理に直面することも少なくありません。本当に仕事が面白くなってくるのは、「Can」が増えて「Will」な仕事に取り組めるようになる3年目くらいからだと思います。しっかりと周りが見えるようになってから判断しても遅くないという意味で、3年を目安にする意見が多いのです。

しかし精神的・肉体的に追い詰められ、就労環境や人間関係に重大な課題がある場合など、我慢せずに辞める決断もする勇気も持って下さい。そして信頼できる誰かに相談できる環境に居ることが望ましいです。悩み考え、相談した結果、退職する決断をするなら社会人3年目のタイミングを待つ必要はありません。

今は、学生にとって売り手市場で複数の会社から内定を取る景況感です。内定辞退された企業は第二新卒の採用に向かいます。本来であれば、第二新卒でも2~3年の経験者が望ましいものの、新卒の採用難が進む現在では経験半年や1年といった早期第二新卒も十分転職できる環境です。

 

<20代後半から30代前半の転職の場合>

3年目という第一関門を通過し、職場環境に特に不満もなく「Will」の仕事が増えてくると楽しく仕方がないという感覚になってきます。すると、決して良いことではありませんが深夜残業が続いても全く苦にならなかったり、休日出勤になっても気にならなかったりします。一般的には「ブラック企業」のレッテルの対象となりますが、働いている当の本人は、それをブラックと感じないかもしれません。やはりその時の仕事との向き合い方だったり感情が大きく影響してしまいます。本人の苦痛が無くても、企業側から労務管理について厳しく指導が入るくらいの企業なら安心かもしれません。

でもそんな時に限って、同業他社からお誘いの声が掛かったり、自らの意志で転職を考えることもあります。自分の実力は他社でも通用するのか、もっと高待遇の条件を探してみようかという気持ちは誰にでも湧いてくるものです。ゆえに、この年齢での転職はキャリアアップが前提になってきます。3年かけて仕事の基礎を築いた後、入社5-6年目に芽生えてくる感情ですね。

 

<30代の転職タイミング>

30代以上の転職も、もはや当たり前のように活況です。各企業も積極的にミドル層の採用に動いています。「これまでのやり方に固執するから」という理由で30代以上の採用に慎重な企業もかつては多かったですが、今では「優秀であれば年齢は関係ない」という考え方が浸透しています。

30代前半では即戦力として主力級の活躍が期待され、30代後半以降は専門性とマネジメント力が求められます。そして、そのタイミングでの転職回数を問われたりすることもありますが、それぞれの会社で残してきた実績や財産があれば決してマイナスになったりしないものです。

それよりも、どのように自分のキャリパスを描くか、そのストーリと未来志向が大切です。終身雇用という言葉さえも聞かれなくなった時代、AIとロボットの普及で「今後10年や20年で無くなる職業」というものが公表されたりしています。憶することなく果敢に挑戦を続けることが重要だと思います。