マネジメント層であれば、業務連絡や定例的なミーティング以外で現状把握のために現場メンバーと話し合う機会があると思います。
そのような時は、コーチングのテクニックを有効活用することで、より意味のある時間にすることができます。
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コーチングとは
近年ではコーチングをマネジメント研修に取り入れている企業もあり、内容をご存知の方も多いとは思いますが、簡単に解説をします。
コーチングとは、対話によって相手の自己実現や目的達成を図る技術であり、コミュニケーション技法の一種とされています。
コーチングは、大抵次のようなステップで行われます。
セットアップ
目標の明確化と共有
現状の明確化
ギャップの原因分析
行動プランの作成
フォローアップ
順番が前後することや、繰り返し行うこともあります。
コーチの語源
コーチとは、もともと馬車のことを指していたようです。時代が経つにつれ、馬車以外の乗り物もコーチと呼ぶこともあったようですが、要するに目的の場所へ導いていく手段のことをコーチと言います。
コーチングでも同様に、コーチは「導く」ことが目的です。上記のステップは、導くための手段ですので、手段が目的とならないように注意が必要です。
例えばコーチングには質問がつきものですが、導くことを忘れてしまうと、質問が詰問になってしまうことがあります。
「何故できないのか」ではなく、「どうすればできるのか」ということを自発的に導くのがコーチングあることを忘れないでください。
コーチングの対象
コーチングは応用の幅が広い技術ですが、誰にもでも適しているかと言えばそうではありません。
コーチングの反対手法はティーチング、つまり教えるということですが、どちらも目的達成の手段ということは変わりません。では大きな違いは何かといえば、コーチングは相手から「引き出す」ことにより自発性を高めるところを特徴としています。
卑近な例で言えば、新入社員へのコーチングは空振りに終わる可能性が非常に高いです。なぜなら、仕事の経験や知識などが少ない、つまり引き出しが空っぽなため、アクションを引き出せないまま終わってしまうからです。
また、意欲的なベテランにはコーチングをする余地が少ないため、テーマを間違えたコーチングを行うと逆効果になる危険もありますので注意してください。
コーチングが最も効果的なのは、知識や経験はあるが、意欲が落ちている人、迷っている人です。目標と現状を明確にすることで意欲を高め、次にやることを明らかにすることによって迷いを取り除くのがコーチの役割になります。
目的と目標
コーチングは売上目標などの数字を目的にすることをお勧めしていません。
ちなみに、ここでは
目的:あるべき姿、理想の状態
目標:目的を達成するためのステップ
と定義しています。
例えば売上目標は会社から言われた数字であることが多く、この数字を心の底から自分の目的と同一視して取り組むことは本音では厳しいのではないでしょうか。
一般的に企業は自発的に動く人間を求めていますが、そもそも目的が合致しなければ自発的に動く力は弱いでしょう。
極論、会社が勝手に目標を押し付けたにもかかわらず、それを自発的に達成しろという状況であるならば、常識的に考えて難しいと思います。目標が高ければ高いほど、懇切丁寧な指導が必要です。
多くの場合、コーチングは、まずこの会社の目標と自分の目的を重ね合せるところから始めます。上司と部下という関係では難しいところはあると思いますが、「引き出す」ことを意識して質問し、導かなければなりません。
目的を明確にして、それから初めて目的に至る道(プロセス)を探すために現状の明確化、ステップとなる目標決定などを行なっていきます。
面談時のポイント
上記を踏まえた上で、コーチングを活用した面談のポイントは
・教えるではなく「導く」という意識を持つ
・何を自分の目的にしているか「引き出す」
・現状を整理して迷っているポイントや課題を明確にする
・課題解決のために行うと決めたことに対してスケジュールとアウトプット(成果物)を明確にする
・マネジメント側がチェックするタイミングを定める
ということになります。
以上を念頭に置くことで、メンバーとの面談は確実に有効になります。
ぜひ一度お試しください。