2018卒の新卒選考が表向きには3月1日に解禁となり間もなく2か月。リクルートスーツの就活生を街中で毎日のように見かけます。GW前後が就活の第3のヤマです。ちなみに第1のヤマは2016年末(3年生の年末)、第2のヤマが3月末(3年生修了)、そして第3のヤマが4年生のGW。新4年生やM2年生は、このタイミングで志望先から内定が提示されれば、少しは一息ついて安心できますね。
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【2018卒 大学生内定率の推移】
3月1日 ナビオープン 6.2%(2017卒内定率 4.6%)
4月1日 第2のヤマ 14.8%(同 9.7%)
5月1日 第3のヤマ ?(同 25.0%)
7月1日 第4のヤマ ?(同 71.1%)
※ N=大学生926、大学院生含まず/リクルートキャリア出典
昨年実績より高いポイント数で推移していますので、少なくとも4人に一人はGW明けには内定を獲得しているのは確実です。
そこから2ヶ月で夏季休暇を迎えますので、その頃になると内定率は70%を超えてきます。そこが第4のヤマですね。しかし実際、内定があったとしても内定承諾をするかどうかは別問題です。企業はオワハラに向けてあの手この手でグリップ施策を打ち出します。
企業も時間と費用を掛けて「是非当社に!」という学生に内定を出しています。そして学生もほとんどの場合、入社でもいいかな、と思える志望先の一つとして選考を受けているはずです。しかし相思相愛かというと全くそうではありません。
企業から内定通知があり、さらに内定承諾書へのサインも早々に求める企業からのプレッシャーに学生はどのように対応すればいいのでしょうか。結論から言うと、さっさと学生はサインをすればいいのです。なぜなら何の法的拘束力もないからです。企業もそんなことを分かっていながら内定承諾書のサインを要求します。学生に内定通知を行い、気持ちが熱いうちに承諾を得ようとするのは企業人事の立場では十分に理解できますし、法的拘束力が無くてもサインした側の学生に対しては、多少は内定辞退を言い出しつらい状況を作ることができるからです。またここで注意して欲しいことは、仮に学生の内定辞退の自由と内定辞退による企業の損害賠償は別問題だということです。
内定辞退で企業はどのような損害が発生するでしょうか。少なくとも、その学生を採用するために掛かった直接的なコストはあり得ます。内定承諾後の研修などの費用も該当するかもしれません。でも実際に数十万円の損害が発生したからといって、学生に賠償させる企業は恐らくないでしょう。内定辞退による学生相手の損害賠償請求なんて企業イメージの棄損しかなく、企業側は数十万円以上のダメージを受けてしまう可能性があります。ゆえに学生が損害賠償請求される可能性は極めて低いかもしれません。
では一方で企業側の都合で内定取消を学生に通知することは許されるでしょうか? これは結論から言うとNGです。内定通知=労働契約の成立を見なされることが多いです。微妙なのが内定の定義が企業ごとに曖昧で、ましてや倫理憲章など遵守されずに早期に動く学生に対するグリップに対して基準が曖昧だからです。一般論としては内定取消は法的には労働契約の解約、すなわち解雇に当たるので客観的合理性と社会的相当性が双方ともなければ、解約権の濫用として無効となります。
2018年3月までまだまだ長い道のりです。