組織力を向上させるミドルパフォーマー
組織の生産性を向上させる鍵は、ミドルパフォーマーが握っています。
パレートの法則、2-6-2の法則の通り、一部のハイパフォーマーが売上の6〜8割を叩き出しているという状況は現実的によく見かけます。
大抵のハイパフォーマーは、自分なりの営業基盤やスタイルが確立されており、マネジメント側からするとある程度放置していても大丈夫な方達です。
ですので、マネジメント層は、努力しているけれども成果が思うように上がっていないミドルパフォーマーの育成に力を注ぐことが効率的と考えられます。
ミドルパフォーマーに注力するメリットは、効率的ということだけではありません。
組織の規模にもよりますが、ハイパフォーマーというのは若手やローパフォーマーからするとかなり遠い存在に感じられているケースが多いです。
いわゆる属人的スタイルの弊害なのですが、これはハイパフォーマーだけの問題ではなく、その他の方々の考え方にも問題があります。
下の立場からすると、「あの人は別格だから」「役員だから」など、成長のプロセスを見ていないために同じ組織ながら傍観者のような立場で彼らを捉えてしまうことが多々あります。また、ハイパフォーマー側にも教えるスキルがなければ、結局「真似できない」と思われてしまいます。そのような心理状態が組織に蔓延していると、ハイパフォーマーは業績に対する影響力はありますが、組織全体の成長に対する影響力はあまり強くないと考えられます。
その点、ミドルパフォーマーは、手が届きやすい身近な存在と言えるのではないでしょうか。仮にミドルパフォーマーの育成に成功すれば、成長過程を知ることで
・○○さんがあれくらいの数字を出せるなら自分も頑張ればできる
・特別なバックボーンや能力がなくても大丈夫
・わからないことがあったら質問しやすい
と他の若手や中堅メンバーは考えるでしょうし、
ハイパフォーマーからすると
・素直に嬉しく思い、人が成長できる良い組織と感じる
・自分も努力を継続しなければ追い抜かれるという危機感を持つ
・パートナーとして協力体制を構築できる
組織としては
・ミドルパフォーマーからの将来的な全体への拡大が見込める
・成功/失敗事例などのノウハウの入手と共有
・マネジメント層の育成につながる
など全体に好影響を与え、活性化につながっていきます。
ミドルパフォーマーの具体的な育成方法は企業ごとに異なりますが、基礎的なスキルの育成にとどまらず、新しい施策や戦略戦術を現在の業務に上乗せする形になりますので、時間や役割を適切に配分することを考えなければなりません。
また、一人の育成だけに集中すると情報やノウハウの量が限られてしまいますが、大規模に行うことはなかなか難しいところもあると思います。そのような場合は、少人数のミドルパフォーマーを集めてチーム化し、半年から一年程度の中期的なイノベーションプロジェクトとして取り組む方法がもっとも安全かつ効率的です。
ちなみに、当社ではこの少人数で始めるイノベーションを、ちょっとだけイノベーション、略してちょイノ!と呼んでいます。
まとめ
・属人的な営業スタイルは組織の成長への影響力が低い
・ミドルパフォーマーの成長は組織の広い範囲へ影響を与えることが可能
・数人のミドルパフォーマーをチーム化し、集中してマネジメントする
上記が本記事のポイントですが、実際にミドルパフォーマーといっても幅広く、誰に集中するべきか迷うこともあると思います。次回は、どのような方を集中して育成するべきか解説していきます。