稀に、でもないかもしれませんが、真昼間に喫茶店でボーっとしているビジネスマンを見かけることがあります。一人で作戦会議をしているかもしれませんが、大抵の場合はサボっているのでしょう。ですが、実は彼らが積極的にサボっているケースは極めて少ないのです。例えば、目の前に1億円の商談がほぼ決まりそうな状態で転がっていたとしたら、それを黙って見過ごすビジネスマンはほとんどいないのではないでしょうか。根本的に無気力で仕事をしたくない人というのはほとんどいないと思います。
ではなぜ部下が昼間から取引先でなく喫茶店に突入してしまうのか、マネージャーはその理由を真摯に考えなければなりません。
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サボる原因は大きく分けて2通り
喫茶店の例は非常に露骨なケースですが、上司から見て生産性があまりよくない部下に対してサボっていると表現することがあると思います。
ここでは、生産性が一般的に見て低下している状態も「サボる」ことに含めて考えて見たいと思います。
生産性が低下する原因は大きく分けて2通りあります。
1つは、目標に対してどうして良いかわからない状態にあるケースです。
・どこに営業すれば良いかわからない
・どうやって営業すれば成果になるかわからない
・何をやってもうまくいかない
・次に何をすれば良いのかわからない
などなど、困ってしまっている状態です。ちなみにこのような時に叱ることは簡単ですが、叱るという行為はマネジメント層が指導をサボることと同義のケースが多く、改善されないことがほとんどのように思えますのでオススメはしません。
業種によって多少は異なりますが、営業はいくつかのプロセスで成り立っています。よくあるパターンでは、
アプローチ → アポイント → 商談(プレゼン) → クロージング → アフターフォロー
といったプロセスがあり、そのプロセスごとにまた質や量の問題があります。
1つ目のケースは、このように営業プロセスを分解し、どこに問題があるか判別することが重要です。マネジメント層からすれば自分で考えて欲しいこととは思いますが、自分で考えてもわからないから喫茶店へ行っていることを理解して頂き、「どの」プロセスの「何」が出来ていないことが生産性低下の原因になっているか発見しなければなりません。
もう1つは、営業組織内では解決できない問題によるものです。
・キャリアパスに対する不安/不満
・成績に対する給与の不満
・企業ビジョンとの不一致
・実は営業職を希望していなかった
・現状に満足しており成長意欲がない
など、一生懸命仕事しても仕方ない、という会社の制度や仕組みに対する問題を抱えている場合です。このような問題は営業以前の問題であり、営業に関する指導をしても、このような部下からすれば「そもそも論」で受け入れられなくなってしまいます。
どちらの場合にしても、原因に対して的が外れた指導をしても改善を見込むことはできません。もちろん複合的に様々な要因が絡んでいることもありますが、マネジメント層は自身が改善可能なところと不可能なところを峻別し優先順位を付け、何の改善提案が最も効果的なのか考える必要があります。
正しい現状理解を
実際に部下がサボるために喫茶店に入るところを見かけることはなかなかないと思いますし、マネジメント層はそのようなことにならないようある程度行動の管理は行なっていると思います。
しかし、例えば訪問件数の目標設定を行い管理するという行動管理は、営業プロセスの管理とともに行わなければなりません。どうやって営業すれば良いかわからないから喫茶店にいる営業マンに対し、武器も与えず訪問件数を増やすようにするだけの指導は効果が薄いことが予測されます。また、キャリアパスに対する不安が生産性低下の原因であるのに、会社のために頑張れといったような指導は逆効果になります。
訪問先が間違っているのか、プレゼンなど営業スキルが足りないのか、どこを指導することが最も効果的なのか正しい現状の理解が必要です。
また、問題が営業組織ではなく会社の制度などにあるとすれば、、営業組織内で個人の内発的動機付けを高めるためにできることが何か営業組織の上層部は考えていかなければなりません。
まとめ
・サボりたくてサボっている人は(ほとんど)いない
・生産性の低下は営業的な問題だけで起きるわけではない
・なぜ生産性が落ちているのか、正しい理解が正しい解決策を生む
表面に出てきた問題は氷山の一角かもしれません。もし生産性が低い部下がいると感じた場合は、水面下の問題がある可能性も考慮し、まずは正しい現状把握を心がけることをお勧めします。