3つの輪は全く難しいものではなく、ひと目見ただけで頭に入ってくると思います。それをまずは手元に書いてみる。ここからスタートです。
WillとCanが重なる部分。これがキャリアの方向性。「Will=自分がやりたいこと」「Can=自分ができること」が重なるわけなので、それが最も現実的なキャリアの方向性だと考えることができます。また、「今はできないが、自分が本当にやりたいことはこれ」というケースもあるでしょう。たとえば、「今まで開発を担当していたがマーケティングをやってみたい」など。この場合は、いきなり転職ではなく、今いる企業の中での配置転換によって実現することが現実的かもしれません。そうすると、わざわざ転職しなくても良いという選択肢もありうるわけですね。
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自分のキャリアの棚卸し
では3つの輪に従って、実際書き留めて行くと、
例えば「Will=やりたいこと」と「Can=できること」が一致している場合でも、「Must=やらなければならないこと」が一致していないケース。自分のキャリアの方向性は明確だが、それを実現できる場が今の会社に無かったり、あったとしても希望の部署へ配属されていなかったりするケース。その場合は、Mustが重なる企業を探して転職するという動きになってくると思います。
「自分を理解すること」が充実した転職活動につながります。これまで「自分は何がしたいのか、何ができるのか」ということを整理する機会が無かった方は、転職活動を通して改めて整理(棚卸し)してみることをおすすめします。フレームワークは理解していても、実際考えてみると、「これでいいのか?」「客観的に自分を分析できているか?」など迷う場合も出てくるかもしれません。そういう場合は転職エージェントの力を借りても良いでしょう。是非じっくりと「自分」を見つめ直してみてください。
転職活動では、これまでの経験の中で得た技術、知識をアピールする必要性を誰もが理解していると思います。つまりCanのアピールが最も大切です。その一方で転職活動においてはWillを軽視しがちです。「~がしたい」というアピールが強すぎると、わがままと思わせたり、そもそも未熟な方だという印象を与えてしまうかもしれません。ゆえにCanやMustの合意形成を最優先に考える必要があります。
しかし未来志向の含まれているWillには企業のベクトルに合わせた自己の成長や「~がしたい」という意志と覚悟を感じさせるものもあり、転職市場に限らず新卒採用においても、最近求められる志向性と言えます。多くの方が「~がしたい」という意志だけを主張する傾向にありますが、そこには覚悟が伴わなっていなければなりません。そして、その覚悟となる根拠が熱意だけでなくロジカルなアピールが転職活動においては必要です。新卒採用とはここが大きな違いです。
では3つの輪を使って、自分のキャリアの棚卸しという気持ちで始めてみましょう。その結果、下記の絵図のようにまとまればOKです。3つの輪が必ずしも同じ大きさの円になるとも限りません。Willが強すぎるのか、Canは謙虚すぎないか、Mustは直近のことなのか将来への期待も含まれているのか。Mustは自分自身ではコントロールできない外部要因ですから、いかにMust要件に対してWillとCanが合意形成できるか、それがマッチングということです。