上司・部下におけるコミュニケーションの重要なポイント

組織の運営にはコミュニケーションが大事と言われて久しいと思いますが、様々な支援ツールが存在し、導入している企業も多くなってきている中、今でも解決したとは言い難い問題なのではないでしょうか。
今回のコラムが、永遠とも思えるこの課題の解決のヒントになればうれしく思います。

[clearfix]

いま求められているコミュニケーションとは

上司と部下のコミュニケーションとは、上司からの指示があり、それに従うのが部下というのがわかりやすく一般的な形ではありますが、現在ではそれだけではダメで、生産性を高めるには部下のモチベーションや帰属意識も高める必要があるといったことが盛んに言われています。

つまり、いま求められていることは、通例行われてきた指示や指導に加え、部下のモチベーションや会社へのエンゲージメントを高めるコミュケーションということになります。

例えば、飲み会など会食をコミュニケーション&モチベーション向上の手段として用いる方がいると思いますが、見方によっては、これは仕事中のコミュケーションでモチベーションを上げることができていないということになります。
もちろん飲み会自体を否定しているわけではありません。お酒が入らないと出来ない人生相談やプライベートな相談ができる人間関係が社内にあることは大変素晴らしいことです。

ただし、飲み会がただのフォローの場になっているとしたら、それは改善の余地があると考えるべきです。理想を言えば、通常のコミュニケーションにおいてモチベーションやエンゲージメントを高めることが最高なのではないでしょうか。

コミュニケーションとは「双方向」

では、どのようにモチベーションやエンゲージメントを高めるか、ということの前に、上司と部下のコミュニケーションにおいて気をつけなければならないことがいくつかあります。

まず、上司と部下という関係そのものに端を発するバイアスに注意しなければなりません。

バイアスとは簡単に言えば思い込みのことです。例えば指示をする際に、上司の言うことを部下が聴くのは当然、というバイアスが上司側に前提としてあると認識することが大切です。

また、あまり言うことを聞かない部下や、遅刻の常習犯のような部下がいた場合は、話をする際もしくは聴く際に、「どうせ〜なんだろう」と思い込みながらコミュニケーションをとっているということを認識することが最初の一歩です。

組織運営上、部下が上司の言うことを聞かないのは当然問題ですが、だからといってどのような言い方や態度で接しても言うことを聞くと思ったら大間違いです。他にも、大抵の場合、部下より仕事ができるのが上司なはずですから、仕事ができる人の言うことは聞いて当たり前という意識や、自分(上司)が絶対正しい、自分が基準という意識もバイアスになっていることを認識する必要があります。

決して、バイアス自体が悪であるということではないのですが、もしこのバイアス自体に間違いがあった場合、間違いに気づくことが非常に難しくなるため(何せ「当たり前」と思っていることですから)、まずバイアスの存在を認識しておくことは問題が発生した場合の解決の近道となります。

そして、このバイアスに紐づく部分もあるのですが、コミュニケーションの大前提は「双方向」であることに注意をしなければなりません。

社内・社外を問わず、コミュニケーションとは双方向であるべきです。つまり、発信側と受信側の矢印が両方についてなければなりません。

よく見かけるのは、上司から部下への一方的な矢印のコミュニケーションです。

上司が単純な指示を出すときでも、どこまで部下(受信側)のことを考えているでしょうか。もちろん、部下からは「はい」とか「わかりました」という返答はあるのでしょうが、これをコミュニケーションと呼ぶ限り、永遠にコミュニケーションに関する課題は解決されないように感じます。

特に大企業で非常によく見かけるのが、本社戦略の現場への不浸透です。本社として、大きな視点や中長期の視点で始めたことや舵を切ったことに対して、現場がまったく納得していないという状態があります。

中には現場の納得感は不要、という経営者の方もいらっしゃいますが、そのような会社は大抵離職率が高いように感じます。

この原因は単純な話で、会ったことも見たこともない人の言うことを聞く人はあまりいません。また、会ったことも見たこともあっても、一方通行のコミュニケーションしかされたことのない人の言うことを聞く人もあまりいません。

なので、戦略や方針といったものは双方向でコミュケーションが出来るところから順番に浸透させて行くべきであり、ある程度大きな組織で、本社の方が、現場が言うこと聞かないという課題を感じた場合は、支社長・支店長などミドルマネージャーとコミュニケーションをしっかりととるか、本社と現場を直接つないでしまうしか方法はありません。

また、このような問題に対し、きっちり管理すれば良いという意見もあると思いますが、果たして管理すれば生産性が上がるのか、モチベーションが上がるのか、といったことはかなりケースバイケースだと思います。

「ウエルネス」という基準の提案

コミュニケーションにおいて問題が起きている時に当社が提案するのは

1.コミュニケーション頻度を高めること

2.「ウエルネス」という判断基準を持つこと

の2つです。

1つ目のコミュニケーション頻度を高めるというのは、一言で言えば量を増やすということです。顔を合わす回数や話しかける回数を増やすことや、営業職であれば上司は同行の回数を増やすなど、接点を増やすことを心がけます。

2つ目については、まず「ウエルネス」とは

・身体的
・精神的
・社会的

に満たされた状態であることを言います。

上司とのコミュニケーションが、部下にとってウエルネス(な状態)になるか、これを基準にコミュニケーションを行い、コミュニケーションができているか判断するべき基準をキャ感的な物差しとして「ウエルネス度」で測る、ということを当社は提案しています。
ウエルネスでなければ、そもそもモチベーションが維持できず、会社に対する帰属意識も上がらず、従って情報共有も役割分担も戦略浸透もできないと当社は考えています。

一例を挙げれば、上司が自分(部下)のことを本当に考えてくれている、自身の思いを汲み取ってもらえたと感じてもらうことが部下にとって社会的に満たされた状態なのです。

ある業務や方針を指示した際に、上司は部下をウエルネスにするためにはどうやって伝えるか、ということを意識し、部下がウエルネス(な状態)になったかどうかを客観的な判断基準とすることで、社内のコミュニケーションは劇的に改善します。そして部下は、後顧の憂いをなくすことで、顧客へ集中することが可能になるのです。

まとめ

部下は上司の指示に対して、仮に嫌なことや納得いかない部分があったとしても、「はい」という返事をすることが多いのではないでしょうか。それを額面通りに受け止め、仮に部下がその業務をうまくこなせなかったとしたら、それはコミュニケーションが成立していないと捉えるべきです。

・バイアスを認識する、可能な限り排除に努める
・コミュニケーションは「双方向」が前提条件
・「ウエルネス」という客観的な判断基準を持つ

以上が、コミュニケーションを正しく成立させる重要なポイントです。
まずは1つからでも意識して頂くことで、組織が変わるきっかけになればうれしく思います。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: